病院での暮らしでは、週に何回かは、医者の回診がある。
昔見た「白い巨塔」では、権威の塊のような白衣集団がBGMも高らかに怒涛の行進を見せていたものだが、この病院でも、看護師が2,3人付き従って、それなりに緊張した儀式ぶりを見せている。でも診るのは手術の切開傷のチェックのみ。
もう薬は何も飲んでない。20分の超音波治療ときちんと3度の低カロリーの食事と1時間のリハビリと「部屋でもやってください」と言われてする筋トレと散歩、パソコンと読書…あっという間に日は過ぎていく。驚くばかりだ、もうひと月過ぎたのだもの。
膝を曲げる…これだけのことがとても苦痛を伴う大事業なのだ。足はまだ地に着けない。半分の重心で着くのが2ヶ月後、全重力を委ねるのが3ヶ月後。今はただ硬直しちまった筋肉をなだめなだめて伸ばして伸ばして、膝を曲げること。
その時の痛みには2種類ある。細い神経の紐が引っ張られるようなツーンとした痛みと筋肉の束が圧力機で押しつぶされるようなドーンとした痛み。伸ばして曲げるときも痛いが、曲げた足を戻す時も痛い。リハビリとは痛みとの戦いなのだ。でも繰り返していれば、痛みは徐々に排除されていく、決して裏切られることはない。リハビリとは希望なのだ。
僕には見舞い客や打ち合わせ客が多いのと、「いつまで入院しなければならないのか?」といった不平がましい質問にうるさく思われたのか、昨日の回診で主治医が「膝が直角に曲がったら退院かな」と言ってくれた。ウワオ〜ッ!
膝曲げ訓練を初めて2週間になる。ただぶら下げるだけでも大変だった右膝も今や65度。でも先週末には90度を達成しているはずだった。ああ、僕に拷問に耐える革命戦士の根性があれば、とっくに直角の壁は超えていたはずだ。
とはいえ、目標は明確に定められた。直角実現して退院だあ!
2016年10月31日
シリーズ8 直角に曲がったら…!
posted by ヨッシー at 09:58| Comment(0)
| 個人的分野
この記事へのコメント
コメントを書く