2008年02月25日

ご挨拶とご報告

今回実施したチャレンジド・ミュージカル3と関連事業の報告集の原稿を掲載させていただきます。

ご挨拶とご報告

チャレンジド・ミュージカルには不思議な、関係する誰をも幸せにするエネルギーがあります。これほど微笑ましい、それでいて挑戦的な、刻々と変わる変化が人間的な成長となって現れる、共感と愛情に満ちた現場を私は他に知りません。

なぜだろうと自問します。それは、「障がい者のために」とか、「しなければならない」という意識よりも、みんなが単純に「面白いから」参加しているからだという答に行き着きます。生きる原点に「面白い」を置くことが私の人生観でもあるのですが、「面白い」からこそ毎週1回、4ヶ月に及ぶ稽古を重ね、会場いっぱいのお客様に見つめられる中で演技して、その瞬間自分がたくさんの人間と向き合っている実感を得るのです。何かが変わらない訳がありません。

稽古中もほとんど表情を見せなかったA君が、市川公演での1ステージめと2ステージめとでは明らかに変化しました。自分の意思で登場し待機し演技し次の演技者に引き渡していきました。「こんなにも多くの人から見つめられている」という実感が彼を変えたのです。舞台表現の持つ偉大な魅力をまざまざと見せつけられた瞬間でした。

毎年実施しているチャレンジド・ミュージカルも今年で3回目。今回は地元市川市での公演だけでなく、千葉市への出張公演にも挑戦しました。「こんなにも面白い活動をぜひあちこちの町で生み出してほしい」と願ってのことです。「私たちの町でもやりたい」という声が起こりました。成果です。来年は、ニューヨークで活躍するニューヨーク・シティクラウンズとの競演も計画中です。新しい表現課題への挑戦です。エネルギーいっぱいの活動は、まだまだ広がっていくことでしょう。

さて、何らかの障がいを持っている(と言われる)人たち3,40人の、毎回ちがう稽古場での集中と安全を確保するのは並大抵のことではありません。マンツーマンで対処するサポーターの協力が欠かせません。チャレンジド・ミュージカルでは多くの若者がこれに当たります。そしてこの若者たちもまた、うらやましいほどの成長振りを見せてくれるのです。

そこで今回は、ボランティアサポーターのための養成講座に取り組みました。なにより、この若者たち自身が「表現する面白さ」を実感してくれなくては、本当のやりがいも生まれてこないでしょう。いつもは障がい者の陰に回る若者たちに表現の楽しさを満喫してもらいたい、それをエサにもっと多くの若者の参加を得たい、というわけで、「表現の面白さ」を実感し、「障がいとは何か」を学び、「サポートを実践」していくステップごとの発展講座を実施したのです。

連続講座は実に稔り豊かな成果を得ました。公演活動中には、いつもの倍に近いサポーターの参加が得られました。障がい者と一緒に創造する面白さに貪欲な新しい指導者との協働の輪も広がりました。ご協力ご支援くださったたくさんの市民の方に改めて感謝申し上げます。そして、助成くださった福祉医療機構にも感謝します。

皆様、本当にありがとうございました。

ここに、その活動報告をさせていただきます。

最後に、これからも出演を希望する人は増えていきます。サポーターの若者たちもそれぞれの道に進んでいきます。その意味でも、チャレンジド・ミュージカルは生きているのです。もっともっと多くの人たちとつながって活動を充実させたい。欲張りの極みですが、皆様の更なるご支援をお願い申し上げます。
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