2009年03月03日

本番に強い子どもたち

「サファリ!」の幕が開きました。

13時開演の1回目には、会場に座りきれないお客様も出て、申し訳ないほど満員状態で幕が開けました。

稽古中に恐れていたインフルエンザの攻撃もなく、途中参加のNY・シティクラウンズとの合わせ稽古も順調にいっていたのですが、実はぼくにはどこか捉えきれない不安を抱えていました。

その朝、指導者の一人が、「夢を見た。舞台から00ちゃんが転げ落ちて亡くなった。」と青い顔で告白しました。もう一人が、「抱えていた灰皿が落ちて壊れた」と、付け足しました。

ますます不安がつのります。不安の第一は、もちろん子どもたちの安全。暗い舞台袖を移動したり、待機したり、子どもたちは普段と違う緊張に駆られています。眼を離した途端に、どういう行動を取るか予測できない事態です。若いサポーターたちも皆明らかな緊張に見舞われています。

不安の第二は、誰かがセリフを間違った途端に起きる、ドラマの中断。稽古場でも何度もおきました。セリフを間違ったり飛ばしたりした瞬間、舞台が硬直するのです。慣れた出演者だと、誰かが引き取ったり、次に展開へ誘導したりするのですが、始めての体験者である子どもたちは、何秒間も黙ったまま、硬直してしまいます。
まさか客席から演出者が指導したりするわけにも行かず、急遽、出演プロンプターを準備して対策を採りました。

結果は、何事の事故もなく、出演プロンプターの活躍することもなく、それどころか、本番に強い子どもや大人たちが、満員のお客様を前にして堂々と演じきる有様に、ほっと胸をなでおろしたものです。

前日の舞台リハーサルは8時間近くかかりました。ゆっくりと眠る間もなく、当日も8時間。それも追い込み気運の慌しい時間ばかり。明らかに皆疲れた表情になっています。そこを貫くのは「集中」です。

この「集中」こそが、ぜひみんなに体験してほしい課題だったのです。緊張し集中して、稽古してきた成果を、お客の前で爆発させる。それを受けて万雷の拍手で客が答える。舞台から引き上げてきた出演者たちは、何事かをなしえた満足感に浸ります。その時、人間が変わります。出演者もサポーターもスタッフも、きっとそれぞれの変化を感じ取ったことでしょう。

舞台では、日ごろの稽古に増して、相手のセリフを聞いて答えようとする集中力が満ちていました。当然の如くドラマに緊張と充実した時間が生まれました。成功したのです。

本当にたくさんの市民が会場にはせ参じてきてくださいました。たくさんの市民が協力して、公演を支えてくださいました。このエネルギーの巨大さに、ただただ圧倒されています。

さて、次回は7日の千葉公演です。もっともっと欲張って、すばらしい舞台をお見せしなければなりません。表現に到達点はないのです。
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