荷風幻像の舞台仕込が始まりました。
市川市との共催なので、仕込み時間には余裕があります。いつもの癖で、会場全体を全くすてきな劇場空間に変えるために、プロスタッフも市民スタッフも、朝から晩まで働きづめになっています。
今回の出演者は、いつもの劇団七福神関係者10数名に加えて一般公募で参加してきた方々20数名も。この新人たちの驚きようったらありません。
会場となるグリーンスタジオに入ると、どこから集まったのかというばかりのたくさんの市民が協力して会場作りに励んでいます。見る見る何もなかった空間にセットが立ち上がり、照明が当たって、劇場空間へと変貌していきます。
ロビーでは、上がったばかりのパンフレット用紙を重ねて、真ん中にホッチキスを当てて、二つに折って、来場者に無料配布するカラーパンフレットが出来上がっていきます。(実は5万円の差額を嫌って、冊子作りは皆でやろうということになったのです)
すべてが人海作戦です。市民ミュージカルを始め、これまでいちぶんネットの事業に参加してきた人たちには見慣れた光景でも、新人たちには驚くべき光景に映るようです。
「どうしてこんなにたくさんの人が協力してくれるの?」「舞台空間を隅々まで変えていくことに、どうしてこんなにこだわるの?」。そして、皆が一様に「市民活動が、こんなに力強いものとは知らなかった!」と感嘆の声を上げています。
1500部のパンフレットを作成したグループの中に、ずっとサラリーマンで退職したHさんがいます。1500部作成という目標に汗を流して、いつ終わるやらとこぼしていたのが、作業の途中からより能率的なやり方を発見して、気づいてみれば半日で終わっていました。みんなと馬鹿話を笑いあいながら作業する市民活動の楽しさを実感したようです。
「ぼくはホッチキス止めのプロになりました。もうこのバイトで食べていけます」と胸を張っていました。
今日の職場とか家族とか地域とか、誰もが弱い結びつきの中で孤独な生活に慣らされています。少しばかりの余暇の時間が生まれても、一人分の趣味の中で埋没しています。そうした生活に慣れきった人たちが何かを求めて集まると、とてつもない創造的で楽しい時間が生まれます。まさに人生が変わっていくのです。
作業終了後の一杯飲みながらの席で、次々と打ち上げられる雄たけびを聞きながら、仕掛け人たるぼくはにんまりとしつつ、「面白い活動は、人を街を、元気にする」と、改めて実感しています。
会場は観客席の一部を桟敷にして、定員枠を拡大しました。まだまだは入れます。13日と14日の公演に、ぜひ彼らの輝く表情を見に来てください。お芝居も面白く仕上がっています。
2009年06月11日
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