チャレンジド・ミュージカル「サバンナ!」の市川公演が終了しました。
2回で1000人以上のお客様が来てくださって、お客の反応も上々でした。まずは及第点と思います。
今回の稽古で、僕は常に「この子たちにどういう表現課題をぶつければいいのだろう?」と思い悩んでいました。台本を準備しても文字を追えない子もいます。台本を無視して、「台詞はコミュニケーションの中で生まれる」とばかりに、状況を説明して会話としての台詞を語るように口立てで仕向けても、コミュニケーションというものの理解が出来ない子もいます。歌やダンスではあんなにはじけるのに、演技となると面白くなさそうな表情に陥ってしまう子どもたちを相手にして、途方にくれた瞬間が何度もありました。
インフルエンザの蔓延で途中思い切って2日間の稽古を中止した影響もあったのですが、ただこの判断は正しくて、子どもを抜きにしたスタッフ中心の稽古が有効だったようですが、問題の本質は、20日余の稽古でこれだけの質を深めるのは難しいとわかっていたのに強行してしまったことです。
もっともっと丁寧に時間をかけてゆっくりと子どもたちに向き合っていれば、その子の可能性はもっともっと広がったのではないかと思うのです。同じ台詞を繰り返すことでその性格を際立たせようと狙ったイシガメさんを例にとれば、稽古の終盤までK君だけに頼ってしまう形になっていたのですが、誰かが特訓したのでしょうか、ゲネから本番にかけては4人の声が聞こえだしました。彼らが理解できるだけの時間をかけていれば、もっと溌剌とした表現が生まれたのではないかと悔やむ結果です。
公演ごとに毎回新しい台本で一からつくり始めるのが無理なのかもしれません。お客を意識して何とか形に治めてしまってはいたのですが、そういうつくり方では、本当は彼らのためにはならないのかもしれないと思い始めています。
とはいえ、入場料を払っていただくお客意識もあることだし、赤字公演に終わる恐怖もあるし、「チャレンジド・ミュージカルとは何か?」を問い直す大きな壁にぶち当たったのは事実です。
2009年11月03日
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