終演の翌週の学校や仕事先、もう少し余韻に浸っていたいとばかりに、どうにも調子の上がらない気分でいた人・・・次の休日の朝には、「今日の稽古場はどこだっけ?」と一瞬頭をめぐらした人・・・そして、何もない日常の張り合いのなさを改めて痛感してしまった人・・・要するにハレの時間を体験した人だけが味わえる虚脱感を今皆さんは噛みしめていることでしょうね。
人間が、何かをなしえたという達成感を獲得することはすごいことです。何かを面白がってそれに立ち向かい努力して達成する、そういう自分を誉めてやりたくなる自己肯定感もすごい力を発揮します。それも他人からの評価ではない、自分自身が評価できるということが。
この10年、稽古場という現場で多くの子どもたちをまた大人たちを見てきました。子どもたちが本来持っているはずのエネルギーが発揮されないままで内に内にと引きこもっていく姿を見てきました。物質的に豊かに贅沢になっていく時代とともに、人は何を失くしていっているのか、考えざるを得ない時間でした。そういう大げさに言えば危機感とともに始めた市民ミュージカル活動ですが、この「達成感」と「自己肯定感」こそがそうした不安な心にある力を与えるということだけは実感しています。
でも人間社会とは複雑なものです。一時期は水木洋子氏のように「女性の自立」を声高に叫んだ時代があったものですが、今は女性もそれに疲れ「可愛い女」でいた方が楽だとばかりに怒りと屈辱を胸底に仕舞いこんでしまった感があります。「出る杭は打たれる」というのが人間社会なんでしょうね。
でも僕は人間の力を信じています。その意味でいい年をしていつまでも愚かな楽観主義者でありロマンチストです。一人の人間が面白いと思えたことに夢中になり、昨日とは違う今日を生きる喜びを知り、そういう自分を誇りに思って生きていこうとすれば、自分ひとりを大事にするばかりでなく、そうした活動を保証してくれる場「社会」を大事にしたくなる、そして地球上のさまざまな違いを誇る文化をお互いに尊重し合うことにつながると思っています。
僕らのやっていることはとても小さなことですが、とても大事なことだと自負しています。
2010年09月15日
ハレの後の虚脱の中で・・・・
posted by ヨッシー at 00:29| Comment(0)
| 第5回市民ミュージカル「シネマ・ミュージカル」
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