チャレンジド・ミュージカルの稽古2日目、配役を決定しました。自分がどんな役を演じるのか、一度経験してどんな役があるかわかっているだけに、みんな興奮気味に注目しています。中には、リクエストしてくる子もいます。実に頼もしいと惚れ惚れします。
舞台の演出という仕事は人間を相手にします。俳優たちとどう向き合うか、どんな創造集団のあり方を追求するかがとても大事です。中には俳優を屁とも思わぬ独裁的な演出者もいますが、もちろん長続きはしません。
一人一人を尊重する、共に創造を積み重ねていく対等の人格として尊敬しあうことが大切だと、僕の経験が厳しく語りかけてきます。この姿勢が結局最高の成果を保証する唯一の方法論だと痛みと共に学んできました。相手が子どもといえど、この基本姿勢をゆるがせてはいけません。
集団作業において、まず人間は集団の中の役割と自我との葛藤に悩みます。自分はあの役をやりたかったのにかなえられなかったと不満を覚えます。でも、自我を無視されているのではないと実感できた時、与えられた役や立場との調和をはかり、それを受け入れることができたとき、自分ならではの最大の努力を発揮して、集団の一員として果たした成果に満足するのです。
集団と個人の関係は「一人一人を尊重する」という原理が確立して初めて最大の力を発揮するものです。その方法論が民主主義です。これは、どんな市民サークルでも、学校のクラスでも企業でも国家でも、あらゆる集団に見事に当てはまり、そして決してそうはならない現実がこの世にいっぱいある通り、最も困難な方法論でもあります。
でもくじけてはいけません。個人が尊重されない集団は悪です。チャレンジド・ミュージカルこそは集団と個人の理想の関係を目指して進んでいきましょう。それなくして活動する意味はありません。
来週からは、いよいよサバンナ2の本編の稽古に入っていきます。芽生え始めた子どもたちの自我とどんなぶつかり合いが生まれるのか、大いに悩まされようと思います。
2010年11月16日
子どもたちの自我
posted by ヨッシー at 02:10| Comment(0)
| 第6回サバンナ2
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