拝啓
チャレンジド・ミュージカルの公演の度に、強力に支援していただいてる青年ボランティア・サポーターの皆さん、あなた方の活躍と成長は私たちの誇りです。
2005年の活動開始以来、毎回平均30名ほどが、稽古場でともに楽しみともに泣きともに喜び合って、障がいのある子どもたちの表現活動を支えていってくれました。その活動は先輩から後輩へと見事に引き継がれ、毎年途切れることなく今に続いています。
この活動を通して、あなた方若者がどんどん人間的な成長を遂げていくのを間近に見ていて、私はいつも驚きとともに若者への信頼を深めていける喜びを実感しています。
あなた方の大半がアルバイトに精を出さねばならない苦学生だということも知っています。あなた方は勉学にいそしみ、日曜日ごとの稽古に通い、夜はそのままアルバイトへと直行する生活、翌日の教室ではつい眠ってしまうという話も漏れ伝わってきます。「負担を少なくするために、せめてアルバイトの半額でも支払えたら」と思いますが、悔しいかなそういう状態にはなれない現実があります。
最近、学校関係者から苦情が出ていると聞きました。「ボランティアに入れ込んで勉学がおろそかになっている。半ば強制される形でクラス員に参加を呼びかけている」というのです。
これは皆さんと改めて話し合わねばならない由々しき事態だと私は認識しています。
ボランティアは決して強制するものでもされるものでもありません。「したいからする」のです。サポート責任者を含めて、私たちはこの原則を明確に意識しています。参加や出席を要請されて、他の事情を抱えているのに、無理して無理して出席しなければならない理由は何もありません。仮に出席者が少なくて現場に困難が生じたとしても、それはボランティアの責任ではありません。対処すべき私たちプロデュース側の責任です。
とはいえ、あなた方ボランティアが現場に関わり、どんどん理解を深めていって、その役割の重要性を理解していくにつれて、あなた方自身が「なんとかしたい」という責任を自覚していくようになり、それを成長と呼ぶのでしょうが、あなた方自身の負担が増えていくのも事実です。
ここに問題が生じます。「面白い活動」に打ち込めば打ち込むほど「苦しい活動」にもなっていくのは否めません。他のさまざまな活動との関係を自分で整理していかねばならなくなる、それを解決するのは自分自身なのです。
私たち指導者側も同じ悩みでいます。チャレンジド・ミュージカルへの期待と要望が高まるに連れ、この先どういう責任を果たしていくのか、日々に悩みは付きまといます。そして判断します、「この活動が面白いと思える限り、それに伴うもろもろの困難に対しては、自分で対処して行こう」と。
学生の本分は勉学です。学生にとってそれ以外に重要な活動はありません。勉学よりもボランティアのほうが楽しいというのでは本末転倒です。そして、そう思わせてしまう学校教育の問題でもあり、あなた方自身の勉学への向かい方の問題でもあります。
私たちも決して「強制する」といった雰囲気にならないよう厳に戒めていきます。あなた方も「強制されている」といった錯覚に陥らないよう、もしそうなったら話し合いの場で正直にそう発言して、みんなの知恵で解決していくことにしましょう。
繰り返しますが、ボランティアは「したいからする」ものです。「しなければならないからする」ものでも「したほうがいいからする」ものでもありません。「したいからする」と本音で理解した時、それに伴うもろもろの困難に対しては、自分自身で解決していく力をいつの間にか見につけていくもの、それが人間的成長です。
あなた方とともに活動できる喜びに感謝します。
プロデューサー ヨッシー
2010年11月25日
青年サポーターたちへの手紙
posted by ヨッシー at 12:36| Comment(0)
| 第6回サバンナ2
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