「それからのブンとフン」の読み合わせ稽古は順調に進んでいます。
この作品は1975年に生まれました。権力者や常識人を思い切り茶化したり、「みんなで刑務所に入って天国にしよう!」などという発想は、いかにも70年代的で面白いなあと思います。確かにあの頃の日本人には活気があった。人間としての熱意があったと思います。今日までの約40年の間に、日本人は相当大人に、というかつまらない人種になってしまいましたね。
中国の新幹線事故の報道に接して思うのですが、事故原因を隠したり責任追及の声を抑圧したりする中国の権力者たちの欺瞞性に対する批判には、日本のマスコミは容赦がありません。というだけでなく、アジアの国々への相変わらずの蔑視感情が見え隠れして、誠に不快です。
その日本のマスコミが、これまで原発の危険性に対して何一つ暴露することなく、それどころか自ら権力に癒着して利益の汁を吸ってきたことを、どう自己批判しているでしょうか。
福島の原発事故当時、いや今でもそうですが、テレビでは次々と御用学者が登場して、「大丈夫! ご安心を!」と偉そうに笑顔を振り向いていましたっけ。あいつらの権力への擦り寄りは実に露骨で、原発の危険性を指摘する学者たちは片っ端からパージされていったのでした。そしてマスコミは情報を握りつぶして、東電と政府からのあぶれ金で高蛋白脂肪を溜め込んでいたのでした。
そして、私たち日本の庶民も、本当のことを知らされず、知ろうとしないまま、原子力発電の恩恵を享受しつづけて、今になって「だまされた!」と怒った振りをしています。
井上ひさし流に描けば、何も変わらない日本人のへそ的貧しい心性が、相も変わらず連綿と続いているのです。
こういう現実を笑い飛ばすには相当のエネルギーが要ります。新鮮なエネルギーを溜め込まねばなりません。
2011年08月03日
他人の振り見て我が振り直せ
posted by ヨッシー at 22:14| Comment(0)
| 井上ひさし顕彰市民公演
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