2012年07月30日

リアルな演技

 『手鞠歌風にのって』の稽古も残り1ヶ月になってきました。
 この時期は、役者が役の人物の行動線(何故その場にどういう目的で立っているのか?何をしようとしているのか?その時どういう気持ちなのか?)をわかっていくことを求められます。演出からの指示をただ繰り返すのではなく、何故そういう指示が出たのかを考えながら稽古することが大事です。
 俳優の一人ひとりが自分の演じる役の人物の行動と心理を想像してイメージ豊かに再現する・・・これができ始めたとき、舞台全体が俄然活気づいてきます。昨日一人の女の子がものすごくリアルな(迫真的な)セリフを吐きました。ビックリしました。その場で役の人物になりきって誰かの言葉にまっとうな反応をすれば、セリフは生きづきます。生きいきと言葉を投げかけ合ったシーンは全体にエネルギーが満ちあふれてきます。
 HPの掲示板で四季の「キャッツ」が面白くないとありました。表現技術が上手であろうと役者やスタッフが『燃えていなければ』面白くないのは当然です。ロングランの公演ではどうしてもそういう時期が訪れるものです。でも市民ミュージカルは2日4回の勝負。『燃えなければ』意味はありません。
 そのために稽古を重ねているのです。一人の俳優の迫真性が周囲に大きな影響力とともに広がります。お互いに刺激し合った葛藤(せめぎあい)が観客の胸に突き刺さります。そしてその逆も然り。 舞台は非日常的な嘘の世界です。嘘を通して真実を暴き出す世界です。俳優はウソだからこそ恥も外聞もなく泣いたり笑ったり怒ったり、決して普段の生活では味わえない感情を存分に楽しむことができるのです。そういう楽しみ方をそういう燃え方を残り1ヶ月存分に味わってほしいのです。その達成感の大きさは再び日常生活を生きる俳優の個人としての自信・自尊に結びつきます。それでなければ市民ミュージカルの存在意味はありません。
posted by ヨッシー at 12:11| Comment(0) | 第6回市民ミュージカル
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