2013年04月16日

合掌 三国連太郎!

 俳優の三国連太郎さんが亡くなられましたね。90歳でした。
 大滝秀治といい小沢昭一といい、かつて観て興奮させられた映画や演劇の個性的な俳優が次々とこの世を去っていく寂しさは、この年になって始めて味わうもの、若い頃は気づかなかった体験です。
 三国連太郎は被差別部落の出身。徴兵を拒否して海外に留学して捕まり中国戦線に送られ、決して敵に銃を向けなかったといいます。人間性解放を謳う反権力の人でした。おそらく日常生活や人間的にはいろんな葛藤があったでしょう、映画では画面からアクの強さがにじみ出るような個性を発揮して、釣りバカ日誌の社長の好好爺ぶりもその個性の裏打ちがあったから存在の深みが出ていたのでしょう。
 内田吐夢監督の「飢餓海峡」が忘れられません。原作者の水上勉も権力を憎み虐げられた人々の人生を執拗に描き続けた作家です。こういう人たちの描く暗いけれど主張の強い世界が遠ざかり、軽さばかりがもてはやされる時代に物足りなさを感じるのは僕だけではないでしょう。
 今月25日(木)14時と18時半、26日(金)11時と15時、シニア劇団波瀾ばんばん座の「飢餓海峡」が上演されます。シニアならではの人生体験があの時代の荒々しさとぶつかります。11月には「はなれ瞽女おりん」の上演も準備中(出演者募集中!)です。今年の僕は、ただ生き延びるということに必死だった時代に立ち返りながら、貧困や抑圧の中で必死にまっとうな人間として生きようと願った人たちの苦しみや喜びを描く水上勉の世界にどっぷりと浸りこもうと思っています。
posted by ヨッシー at 09:14| Comment(0) | 波瀾ばんばん座
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