2009年03月10日

もっと先を展望して・・・

チャレンジド・ミュージカル公演W「サファリ!〜旅に出よう!〜」の市川市と千葉市での公演が終了しました。全部で2000名近いお客様にご覧いただけました。皆様、本当にありがとうございました。

人間とはだらしないもので、市川公演の反応に満足した出演者が、千葉公演の当日にはどことなく気が緩んでいた様子。そこで活を入れなおして、千秋楽の幕を上げると、私たちの持っている実力の精一杯を発揮して、まずは満足できる成果を獲得できました。
今回はセリフへの挑戦とNY・シティクラウンズとの共演という新しい課題が2つあったのですが、第一歩としては十分力が発揮できたと思います。一体どうなるかと不安がいっぱいだったセリフへの挑戦も、やればできるもの。というか、もっとうまくリードすれば、かなりのことができるのではないかと、人間の能力の可能性に改めて目を開かれることとなりました。

これからの展望として・・・
表現的には、「これは無理かもしれない」という偏見を捨てること。時間をかけて丁寧に接していけば、もっともっと未知なる世界を発見できると考えるべきでしょう。声にも出せない子どもの声が出た。もごもごと何を言ってるか不明瞭だった子どものセリフが意味を持って伝わるようになた。そして何より、自信を持ち始めた子どもたち、大人たちの表情がどんどん輝きだしたことが本当にうれしいのです。
たとえばボイストレーニング・・・声を出す。主張を明確に伝えるように努力するために、一人ひとりの声の出し方を鍛えていくことが必要です。傷害のある子どもたちに向かって、これまでおそらくそんな余裕のある教育はなされてこなかったでしょう。でもやればできるのではないかと思います。ダンスや他の動きにしてもそうですが、「持てる力のすべてを発揮する」ことから、「持てる力を膨らませる」ことへと眼を向けていこうと思います。何よりも「面白がる」ことを第一義として。誰か、障害者へのボイストレーニングに興味を持つ指導者を知りませんか? 情報をください。

また、これだけの市民の協力を得られて成立する事業が、もっともっと全国に知られて、あっちこっちの街で生み出されるために、何が必要か?
僕自身の限界を感じています。あれもこれもと欲張っていろんなことに手をかけて、いつまでもライターもディレクターもプロデューサーも兼務しているような状態では、このエネルギーをもっと大きく発信できるようにはなれないでしょう。協力的な市民みんなの力を最大に発揮できる体制を築くか、才ある人の協力を大胆に呼びかけるかしないとだめだと思います。
自分たちだけで面白がっていればいいというチマチマした発想は捨ててしまおう。この活動が、表現活動が、人間の能力をこんなにも大きく延ばすことができるのだと実感しているのだから、もっともっと社会の広くに訴えて、町の片隅で縮こまって暮らしている人たちにチャンスを届けたいと願います。

本当に、これだけのエネルギーを仲間内だけのイベントで終わらせるのはもったいない。ぼくらの活動を大きく発信するとともに、日本中の街で、障害があろうがなかろうが、そんなことに関係なく一緒になって表現活動を楽しめるようにしていきたいなと思います。そんな面白い活動に参加したくてうずうずしている人は、日本中に、世界中に、わんさといるんだから。こうした活動が、社会を少しでも良くする明らかな力になっているのだから。

2009年03月03日

本番に強い子どもたち

「サファリ!」の幕が開きました。

13時開演の1回目には、会場に座りきれないお客様も出て、申し訳ないほど満員状態で幕が開けました。

稽古中に恐れていたインフルエンザの攻撃もなく、途中参加のNY・シティクラウンズとの合わせ稽古も順調にいっていたのですが、実はぼくにはどこか捉えきれない不安を抱えていました。

その朝、指導者の一人が、「夢を見た。舞台から00ちゃんが転げ落ちて亡くなった。」と青い顔で告白しました。もう一人が、「抱えていた灰皿が落ちて壊れた」と、付け足しました。

ますます不安がつのります。不安の第一は、もちろん子どもたちの安全。暗い舞台袖を移動したり、待機したり、子どもたちは普段と違う緊張に駆られています。眼を離した途端に、どういう行動を取るか予測できない事態です。若いサポーターたちも皆明らかな緊張に見舞われています。

不安の第二は、誰かがセリフを間違った途端に起きる、ドラマの中断。稽古場でも何度もおきました。セリフを間違ったり飛ばしたりした瞬間、舞台が硬直するのです。慣れた出演者だと、誰かが引き取ったり、次に展開へ誘導したりするのですが、始めての体験者である子どもたちは、何秒間も黙ったまま、硬直してしまいます。
まさか客席から演出者が指導したりするわけにも行かず、急遽、出演プロンプターを準備して対策を採りました。

結果は、何事の事故もなく、出演プロンプターの活躍することもなく、それどころか、本番に強い子どもや大人たちが、満員のお客様を前にして堂々と演じきる有様に、ほっと胸をなでおろしたものです。

前日の舞台リハーサルは8時間近くかかりました。ゆっくりと眠る間もなく、当日も8時間。それも追い込み気運の慌しい時間ばかり。明らかに皆疲れた表情になっています。そこを貫くのは「集中」です。

この「集中」こそが、ぜひみんなに体験してほしい課題だったのです。緊張し集中して、稽古してきた成果を、お客の前で爆発させる。それを受けて万雷の拍手で客が答える。舞台から引き上げてきた出演者たちは、何事かをなしえた満足感に浸ります。その時、人間が変わります。出演者もサポーターもスタッフも、きっとそれぞれの変化を感じ取ったことでしょう。

舞台では、日ごろの稽古に増して、相手のセリフを聞いて答えようとする集中力が満ちていました。当然の如くドラマに緊張と充実した時間が生まれました。成功したのです。

本当にたくさんの市民が会場にはせ参じてきてくださいました。たくさんの市民が協力して、公演を支えてくださいました。このエネルギーの巨大さに、ただただ圧倒されています。

さて、次回は7日の千葉公演です。もっともっと欲張って、すばらしい舞台をお見せしなければなりません。表現に到達点はないのです。

2009年02月23日

何かとてつもない大きなものが生まれる予感

21,22日、やまぶき園体育館で、「サファリ!」の最後の稽古がありました。
最後に残った課題である、NY・シティークラウンズとの合わせと通し稽古の貫徹を中心に稽古を進めました。

まず、チャレンジドとクラウンズとの出会いの瞬間・・・メイクと衣装で固めた3人のクラウンズが会場にやってきて、大興奮。実は、クラウンズたちも「子どもたちに受け入れられるか」と内心ビクビクものだったようです。

初めての合わせの稽古が始まりました。みんなクラウンズのパフォーマンスを食い入るように見つめています。中には泣き出す子も叫びだす子もいました。ホップクリームを顔面に塗りたくったり、ズボンを脱ぎだしたり、大きな白菜を粉々にしてしまったり、普段物静かで清潔感にこだわる子どもたちが多い中で、その演技はあまりにも大胆で、まさにカルチャーショックというものでした。

でも休憩ともなれば、クラウンズの周りには早速の人だかり、野次馬気分で、わからない言葉や面白い仕草に興味津々、当然のように人気者に変身していきました。

さて2日目、日曜日の最終稽古で、ぼくは不思議な予感に襲われました。
会場には、すべての共演者、演奏者、指導者、スタッフ、見学者など約200名でごった返しています。NYからわざわざやってきてくれたクラウンズたちの不思議なパフォーマンスに刺激されてか、出演者の演技も一つの壁を越えて、見事な集中を見せ始めました。そして、周囲で支える100名近い大人たちの奮闘振り。ハイテンポの振りが始まると、会場中が一体となって踊りだす始末。ワーンと空気が大きな音響の固まりになってしまいました。

そこに見たのはものすごいエネルギーです。それはみんなが一体となって面白がっているエネルギーだけでなく、これだけの人間が、実は自分のためでもあるのですが、でもやっぱり「障害のある子どもたちのために」何かしてあげたいと努力している、その熱意のエネルギーです。昨日の会場には、人間のもっているやさしさというか、何か美しいもの、善なるもの、可能性というべきもの、信頼というもの、そういう人間であることの誇りといったものが渦巻く、そんなエネルギーが充満していたのです。

そこにいる一人ひとりの生活には、もちろん悩みや苦しみ、マイナス的な感情があるのだろうけど、そして、深まりつつ不況の嵐に不安がふつふつと芽生えているだろうけど、一方で、こうした信頼というものに向う人間集団のエネルギーもものすごいものがあるんだと、改めて実感した次第です。

こうした人たちとの信頼と連帯が続く限り、ぼくらにはもっともっと大きな可能性があるのではないか、もっと何か、とてつもない大きなものが生まれるんじゃないか、そんな予感がわいてきて、年甲斐もなくぼくは、感動していたというわけです。

さあ、来週はいよいよ本番です。市川市民会館を爆発させます。

2009年02月10日

いよいよ追い込み!

チャレンジド・ミュージカルも、開演まで1ヶ月を切って、いよいよ稽古の追い込みにかかりました。先週の土日から休みない連続稽古に入ります。

7日(土)と8日(日)は、さすがに二日連続で稽古した甲斐があって、充実したものになりました。子どもたちがセリフに挑戦するプチ・ミュージカルでは、自分の出番も理解できて、そのセリフも少しずつ大きな声でいえるようにもなった。努力すればできるものです。
ほんとに努力って大事ですね。

1日に1回、全体を通せるかという進み具合ですが、やはりこれを繰り返すことで、子どもたちもストーリーの流れがわかってきたようです。まだ自分の出番だと全く自立的に理解できない子がいて、その瞬間にすっぽりドラマがストップしてしまいます。本番でもこうしたことが起きるでしょう。その対策をどうしたらいいか迷っています。

実は、今回はもう少し上の段階、つまり「舞台に登場するのは00チャンという実際の人間ではなくて、別の人格を持つ人間として登場するのだ。セリフとは、その人たちがコミュニケーションを交わすための言葉のやり取りだ」ということを理解してもらいたいのですが、そしてそれができないと、与えられたセリフをただ順番に大きな声で口にするだけの訓練だけで終わってしまうのですが、そしてそれはぼくがやりたくないことの典型例だったのですが、現実はやはり、まだその段階を脱していないようです。

でもまあそれは今後に残された大きな課題。ともかく本番は近づいて、お客様に完成した形を見せねばならないので、まずは仕上げる形をとらざるを得ません。

とはいえ諦めるつもりはありません。ドラマ教育ということが注目されるようになりました。ドラマという嘘の対話を通して人間のコミュニケーション力と生きる力を獲得するという成果に期待するわけですが、チャレンジド・ミュージカルでもそれを追求していきたいと思います。

ところで、「ほめる」ということは本当に大事ですね。ダメ出しという言葉があるように、演出はいつもダメなところを変えようと怒ってばかりいるのですが、ちょっとした瞬間にほめた子どもはその後俄然と変わっていきます。驚くばかりの変化です。ほめねばならない。つくづくそう思うのですが、今日もまた大声張り上げて注意ばかりしてしまいます。ほめるってむずかしいですね。

先日南新浜小学校の子どもたちに講演に行ってきました。子どもの権利について話をしたのですが、子どもたちの関心はミュージカルのことばかりに集中していました。今週もセミナーや講演が続きます。13日には市川市PTA連合会の皆さんに話をしてきます。これを機会にいちぶんネットの活動を多いに売り込んできましょう。

2009年01月13日

セリフに挑戦!

12日(祝)、今年最初のチャレンジド・ミュージカルの稽古。

元気のいい顔ぶれが揃いました。こちらは少々風邪気味。心配なのは、この先インフルエンザが流行したらどうしようということ。毎年実施がこの時期になってしまうので、いつもその心配が先立ちます。

稽古では、プチ・ミュージカルのセリフの稽古をどんどん進めていきました。台本は無視して、その場でセリフを与えて、どんどんしゃべるようにしていきます。子どもたちはすぐ忘れてしまうでしょうが、この先何度も繰り返して、台本に書かれているからセリフを言うのではなく、大きな流れの中で、相手が何か言ったらそれに答えるという習慣、つまり演技の基本はコミュニケーションであるということを身に付けていくようにしたいものです。

ぼくがその場でさっと口にしたセリフを、子どもたちはすぐ反復して声に出していきます。ものすごく緊張します。一生懸命言おうとしても全然声が出ない子もいます。ちっとも覚えられない子もいます。そしてほとんどが、とても観客には届かない声の大きさです。

そうした演技中心の稽古は、子どもたちにもすごいストレスを与えているのでしょう。終わった後の恒例のハクナマタタのダンスでは、一気に抑えられていたエネルギーが発散されます。

でも、稽古中の物をつくっていく上での緊張はとても得がたい経験だと信じています。自分の出番や自分のセリフが近づいてくるときの緊張、そして自分ひとりがお客さんに注目される緊張、その瞬間を体験した時に、その子の中におきる変化に期待したいのです。

できるだけ一人ひとりの活躍の場を保証したいとは思いますが、みんなが平等になるようにとは考えていません。それでも、どうしても声にならない子のセリフ、観客には届かない子のセリフ、何を言っているのか明瞭にはわからない子のセリフ・・・そうしたセリフも、お客さんに届かないようでは、やはり意味はありません。どうしたら伝えられるか、音響技術的にも表現的にも、今後に残る大きな課題です。

別件ですが、10日から始まった「荷風幻像」の稽古も、40名の大人たちの熱心さに驚いています。こちらの方の様子は、劇団七福神のHPの演出ノートを覗いてみてください。

不況など何するものぞ! 面白い活動は、人を街を、元気にします。今年も元気いっぱい活動していきましょう。

2008年12月15日

いよいよ演技への挑戦

今回のチャレンジド・ミュージカルでは、ストーリーへの挑戦があります。14日の稽古では、初めて配役をして、決められたセリフを言っていく稽古に入りました。

まずは、10時半からの1時間、サポーター養成のための芸術講座。青年サポーターを対象にエチュードという演技課題を試みました。

「逃げようのない大きな橋の上、100m離れた向こうから別れた彼(彼女)がやってくる。困った。どうしよう。相手と出会う。その時の対応は?」といったテーマで、その時の心理を追ってもらう。

みんなが見ている前で、はずかしさを克服しながらの挑戦です。演じた感想を聞く余裕はなかったけど、みんなはどうだったでしょう。

さて本稽古では、舞台の上手と下手の再確認。それから配役をして、子どもたちに「ドラマでは別の名前を持つ別の人間になること」をわかってもらい、その上で「ドラマ上の家族」を構成していきました。

ドラマは実際の人生とは違います。「別の人間になる」ということを子どもたちに理解してもらうのは時間がかかるのですが、それがあるから安心して舞台に立つことができるのです。

子どもたちが登場して、セリフを言います。ほとんど即興でやり取りします。中にはほとんど聞こえない、何を言ってるかわからない子どももいます。声すら出ない子には誰かが代弁してやります。

緊張して口ごもる子がいます。2回3回と繰り返させると、どんどん小さくなって泣きそうになります。

ほんとは少し追いつめるべきなんだと分かってはいるのですが、つい諦めてしまいました。情けないけど、また挑戦しましょう。

そういえば、第3回市民ミュージカルの稽古で、一人の少年に10回近く同じ演技を繰り返させたことがありました。励まし励まし繰り返して、その子が一定の水準で勝負できた時、注視していた周りの人からものすごい拍手が起こって、その少年もパッと表情を輝かせたことがあったのを思い出します。

子どもたちを相手にしていると、指導者にはそういうエネルギーが必要なんだと改めて痛感します。

あっという間にすぎてしまう持ち時間、遅々として進まない稽古でしたが、意外にみんな飽きる様子もなくついてきてくれました。

1月中には、最後までやり終えてしまわねばなりません。

さてどんな仕上がりになるか、ちょっと面白い試みにはちがいありません。

2008年11月17日

言葉がわかってきた!

14日(金)の夜、アジアンブルーの舞台記録の試写会がありました。なつかしい面々が100人ばかり集まって、互いに再会を喜び合いました。2ヵ月半しかたってないのに、子どもたちがグンと成長しているようで、なんだかまぶしいような不思議な感じに戸惑ってしまいました。

その後は飲み会に付き合って帰宅は3時。8時に起きて勤労福祉センターの会場予約。ぼくもそれなりに努力しております。

チャレンジド・ミュージカルは、昨日で稽古3日目。全員合唱に始まり、小学生のピアノ遊び、大人のダンス振り付けノアと、いよいよプチ・ミュージカルの稽古に入っていきました。

親子のシーンを再現するだけでも出演者80名。狭い市民会館ホールでは、もうそれだけで舞台一杯になってしまう。どんな振付をしても、何がなんだかわからなくなるというので、稽古後に指導者会議を開いて対策の検討。新しい方針を打ち出しました。

「どんな時に、親からダメ!といわれるか?」という質問を子どもたちに聞いてみました。正直、ぼくが内心期待していたような声は聞かれなかったけど、まあそれが当然かもしれないけれど、それはそれとして、面白い発見がありました。A君の発する言葉が聞き取れるようになったことです。ほんのちょっぴりですけど。

いつもにこやかに話しかけてきてくれるA君とは、まず握手をして挨拶。その後彼はいろいろ話しかけてきます。でもその言葉が理解できない。当て推量で返事したり、理解したつもりでいるのが、つらいときもあります。わかった振りして応答するのも返っておかしいのではと思って、「わからない」と答えたりしますが、なんともつらい気分になります。

昨日は単語だけですが、だいぶん理解できました。嬉しかったですね。要するにただ慣れればいいのだと実感しました。なんでもそうですね、慣れてしまえばいいのです。コミュニケーションの要はまずその交流の量です。社会関係の理解不足は、コミュニケーション不足が原因であり、社会的差別の根源は差別が生まれる理由などではなく、要するに多数派か少数派かというだけの数の論理です。

来週から、配役と出演シーンの区分けに入っていきます。

2008年11月10日

誰もが不安

チャレンジド・ミュージカルの稽古2日目。

今回はいろんな新聞に記事を書いてもらえたために、新参加者が多く、サポーターも入れて狭い稽古場は120人以上の人であふれています。

前回の唄の復習をして、新曲の稽古をして、前曲の振付を確認して、後半は椅子取りゲームやバス遊びを楽しみました。今回挑戦するプチミュージカルの表現の種を探る遊びです。

みんなワイワイガヤガヤと賑やかなことといったらありません。遊びといってもできる人もいればついていけない人もいる。歌や振付にもついてこれない人がいる。当たり前のことですが、それでも良く見ていると、そこに混じっていることを楽しんでいる様子がありありと見られて、楽しさを共有できる喜びを感じます。

これから挑戦していく表現や繰り返しの稽古で、ユックリズムの人たちに個別の指導を丁寧に進めていこうと思いました。できる人ができない人に教えていく体制が面白いかもしれませんね。人に教えるという経験も大切です。

隣の空き地では「ミニいちかわ」というイベントが開催されていて、何百人もの親子連れで賑わっていました。ぼくは、今千葉県から委託を受けている県内のNPOの活動をビデオで紹介するという企画で、午前中ミニいちかわの撮影に入っていましたが、こちらも子どもたちの楽しげな表情が印象的でした。子どもの表情はいいものですね。

ところで、稽古終了後、外で煙草を吸っていたら、新しい大人の参加者から声を掛けられました。「不安で不安で仕方がない。ぼくにできるだろうか。今日も来るべきかどうか悩みに悩んでいたんです」と。

一体どのような障害をお持ちの方か良くわかりませんが、ぼくらがなんでもないと見過ごしてしまうようなことでも、新しいことに挑戦する立場からは不安が一杯なんでしょうね。そういえば、チャレンジド・ミュージカルを始めた当初は、こういう人たちが一杯いたはずです。不安に負けてやめていった人も数多くいたはずです。

改めて、細やかな配慮を怠るべきではないと実感しました。そして彼に言いました、「だいじょうぶです」と。彼も声に力が入る感じで、「ありがとうございます」と返してくれました。来週も来てくれるといいけど。

来週はピアノ連弾への挑戦です。

2008年11月04日

稽古初日

稽古初日、大洲のふれあいセンターではあまりにも狭すぎる人数が集まってしまいました。事務所には今日も続々と出演申し込みが来て、さすがに定員オーバーで、残念ながらお断りせざるを得ない事態になっています。

稽古日数も少ないので、どんどん内容に入っていきたいのをグットこらえて、まずはオリエンテーションと今回の参加者全員の自己紹介。名簿順に名前を確認して、自分の名前。学年年齢。何をするのが一番好きか、何をするのが一番きらいかを答えてもらい。呼んでほしいミュージカル・ネームを確認して、最後に全員がその名前で呼んで返事をしてもらうという紹介を行いました。

出演者とサポーターの全員を終えるのに2時間近くかかったのに、子どもたちは騒ぐこともなく、動き回ることもなく、全くこちらがびっくりするばかりの気の入れようでした。夏の市民ミュージカルの時だったら、その半分の時間も持たなかったでしょう。いったい、どういうことなのかしら?

そして後半は、これまでも歌い、今回も継承するハクナマタタや「あなたはだあれ?」「アイウエ岡本君」の唄と振りの練習。ただ思い出すだけでなく、新しい参加者にも追いつけるように、丁寧に一つ一つ確認しながらの稽古。

あっという間の5時間がすぎていきました。来週はドラマシーンに組み入れる椅子取りゲームやバスの車内を再現する表現遊びに挑戦します。なんだか今回は妙に全員のリキが入っている感じで、この先が楽しみです。

まずはご報告まで。

2008年11月01日

サファリ!さあ、旅立ちです!

明日2日から、いよいよチャレンジド・ミュージカルW「サファリ!」公演の稽古が始まります。

1日付の朝日新聞の26面にドキュメンタリー映画「ハクナマタタ!」上映会の記事が大きく掲載されました。先日も読売新聞が「サファリ!」出演者募集の記事を掲載してくれたら、応募者がどっと増えました。ありがたいことです。さすがに新聞の力は大きいですね。

今回は障害のある人の参加がすごく増えそうです。その人たちだけで舞台が一杯に埋まってしまうくらい。これまでのようにサポーターや一般の方の表現力で引っ張っていくという方法が取れないかもしれません。

となると、名実ともに本物のチャレンジド・ミュージカル。果たしてどんな表現が可能なのか、ぼくを含めて指導陣は正直戦々恐々でしょう。しかも、後半ではニューヨークから来日するNY・シティクラウンズのメンバーとも競演します。ほんとにどうなるのかしら?

でも、挑戦してみるつもりです。勇気を出して参加してくれた皆さんのためにも、大いに奮闘しましょう。

ただ会場がね。初日のふれあいセンターではもう立錐の余地なき状態です。他の皆さんの待機場所もない状態。
いつもいつもこの問題に悩まされますね。

では明日、お会いしましょう。