2009年11月24日

チャレンジド・ミュージカルの明日は?

「サバンナ!」が21日幕張OVTAホールで千秋楽を迎えました。会場には800名近い観客が来てくださって、ほぼ満員の盛況でした。チャイルドライン支援活動の全国大会のデモンストレーション公演ということもあって、全国の人たちに見てもらえたことは大きな飛躍ともなりました。

「サバンナ!」は、障害のある子が20回の稽古で完成するような内容ではなかったので、子どもたちも「やらされている」という感じが舞台からにじみ出るような結果にもなってしまいましたが、それでも子どもたちは自分の理解できる範囲では存分にエネルギーを発揮してくれました。そして何よりインフルエンザの脅威の中で、参加者全員が無事に舞台にのぼれたことに深く感謝します。

「サバンナ!」の内容的には、まだまだ不十分で、もっともっと緻密な演技やコミュニケーションを図らねば本物にはなって行きません。そうでないと表現の本物の喜びがわからないままに終わってしまうからです。来年は「サバンナA!」と題して、さらなる練りこみをしようと思います。

と、来年の話を打ち出したところで、今後チャレンジド・ミュージカルばかりでなく、市民ミュージカルやいちぶんネットの活動そのものが継続できるかどうかが怪しくなってきました。
ご存知のように今政府が行っている事業仕分けで、子ども夢基金や芸術文化振興基金、福祉医療機構など、いちぶんネットが頼ってきた助成金制度が軒並み廃止や削減の対象になってしまったからです。この危機をどうして打開していくか、今全国の市民活動やNPOが頭を悩ませていることでしょう。

OVTAホールがまさに天下り法人の無駄な経費支出の象徴になっていました。使用条件も官僚的だし、立派な劇場空間と最高設備を要しながら、これまでほとんどこうした公演に使用しなかった為に機材にカビが生えて使えなくなっていました。税金のムダ使い以外の何者でもないのですが、かといって、そういした天下り法人のわずかなおこぼれで活動資金助成の当てにしている市民活動が窮地に追いやられてしまうのはいかにも残念です。

夢ばかり語って、面白いから!と事業を延ばしてきたいちぶんネットもどうやら大いなる障壁にぶつかったようです。これで沈黙してしまうかいなかは我々の発想と努力にかかっているのでしょう。皆さんの知恵もお寄せください。負けてたまるか!の気概で解決していくつもりです。

チャレンジド・ミュージカルの明日は?

「サバンナ!」が21日幕張OVTAホールで千秋楽を迎えました。会場には800名近い観客が来てくださって、ほぼ満員の盛況でした。チャイルドライン支援活動の全国大会のデモンストレーション公演ということもあって、全国の人たちに見てもらえたことは大きな飛躍ともなりました。

「サバンナ!」は、障害のある子が20回の稽古で完成するような内容ではなかったので、子どもたちも「やらされている」という感じが舞台からにじみ出るような結果にもなってしまいましたが、それでも子どもたちは自分の理解できる範囲では存分にエネルギーを発揮してくれました。そして何よりインフルエンザの脅威の中で、参加者全員が無事に舞台にのぼれたことに深く感謝します。

「サバンナ!」の内容的には、まだまだ不十分で、もっともっと緻密な演技やコミュニケーションを図らねば本物にはなって行きません。そうでないと表現の本物の喜びがわからないままに終わってしまうからです。来年は「サバンナA!」と題して、さらなる練りこみをしようと思います。

と、来年の話を打ち出したところで、今後チャレンジド・ミュージカルばかりでなく、市民ミュージカルやいちぶんネットの活動そのものが継続できるかどうかが怪しくなってきました。

ご存知のように今政府が行っている事業仕分けで、子ども夢基金や芸術文化振興基金、福祉医療機構など、いちぶんネットが頼ってきた助成金制度が軒並み廃止や削減の対象になってしまったからです。この危機をどうして打開していくか、今全国の市民活動やNPOが頭を悩ませていることでしょう。

OVTAホールがまさに天下り法人の無駄な経費支出の象徴になっていました。使用条件も官僚的だし、立派な劇場空間と最高設備を要しながら、これまでほとんどこうした公演に使用しなかった為に機材にカビが生えて使えなくなっていました。税金のムダ使い以外の何者でもないのですが、かといって、そういした天下り法人のわずかなおこぼれで活動資金助成の当てにしている市民活動が窮地に追いやられてしまうのはいかにも残念です。

夢ばかり語って、面白いから!と事業を延ばしてきたいちぶんネットもどうやら大いなる障壁にぶつかったようです。これで沈黙してしまうかいなかは我々の発想と努力にかかっているのでしょう。皆さんの知恵もお寄せください。負けてたまるか!の気概で解決していくつもりです。

2009年11月16日

広がっていく楽しみ

チャレンジド・ミュージカル「サバンナ!」の21日幕張OVTAホールでの公演が迫ってきました。日曜日、市川公演の評判に気を良くした出演者がみな張り切って最期の稽古に励みましたが、2週間も空いたので、台詞がなかなか出てきません。適当に励ましたり叱ったりしているうちに、自分でも不思議な感情が生まれてきました。できないことが可愛くなってきたのです。この感情は一体なんなのでしょうね。

市川公演を見た方から、「ぜひわが町に公演にきてほしい」という申し込みが数箇所からありました。パンフレットに「出張公演します」と書いた反応が早速出たわけですが、本当に面白いと思います。とはいえ、一体どれほどの経費がかかるか、なんだかんだ100万くらいはかかるだろうから、そう簡単に実現すると思いませんが、それでも公演機会が増えていくことは僕らの慶びでもあるわけだから、実現に向けて努力していこうと思います。

国府台にある赤レンガ建築の保存活動も広がりを見せています。来年2月6日(土)に設立に向けたシンポジウムを開くことになりました。面白がってぜひ協力したいという市民がどんどん増えています。市長選に立候補を表明した高橋亮平氏と話していたら、あの一体を市民芸術活動の拠点に再生しようと話が盛り上がりました。市長になったら協力してくれるということなので、僕は個人的に応援しようと思います。NPO代表としては制限があって動けないので、あくまでも個人的にですが。

婚活演劇「がめつい奴」の稽古も始まって、出演者と飲んでいたときに、誰かが言いました。「こういう活動に参加していると、人生が幸せになっていく実感がある」と。その時ふと、国民幸福度という指数があるのを思い出しました。GNP国民総生産度という指数とは別に、国民の幸福感を図る指数があるそうです。ぼくらのやっている市民芸術活動はまさにこれに貢献しているのかもと思ったら、自分の幸福感がまして行きます。
面白い活動は人を街を元気にすると、改めて実感しています。

2009年11月03日

僕らは何を学ぶべきか?

チャレンジド・ミュージカル「サバンナ!」の市川公演が終了しました。
2回で1000人以上のお客様が来てくださって、お客の反応も上々でした。まずは及第点と思います。

今回の稽古で、僕は常に「この子たちにどういう表現課題をぶつければいいのだろう?」と思い悩んでいました。台本を準備しても文字を追えない子もいます。台本を無視して、「台詞はコミュニケーションの中で生まれる」とばかりに、状況を説明して会話としての台詞を語るように口立てで仕向けても、コミュニケーションというものの理解が出来ない子もいます。歌やダンスではあんなにはじけるのに、演技となると面白くなさそうな表情に陥ってしまう子どもたちを相手にして、途方にくれた瞬間が何度もありました。

インフルエンザの蔓延で途中思い切って2日間の稽古を中止した影響もあったのですが、ただこの判断は正しくて、子どもを抜きにしたスタッフ中心の稽古が有効だったようですが、問題の本質は、20日余の稽古でこれだけの質を深めるのは難しいとわかっていたのに強行してしまったことです。

もっともっと丁寧に時間をかけてゆっくりと子どもたちに向き合っていれば、その子の可能性はもっともっと広がったのではないかと思うのです。同じ台詞を繰り返すことでその性格を際立たせようと狙ったイシガメさんを例にとれば、稽古の終盤までK君だけに頼ってしまう形になっていたのですが、誰かが特訓したのでしょうか、ゲネから本番にかけては4人の声が聞こえだしました。彼らが理解できるだけの時間をかけていれば、もっと溌剌とした表現が生まれたのではないかと悔やむ結果です。

公演ごとに毎回新しい台本で一からつくり始めるのが無理なのかもしれません。お客を意識して何とか形に治めてしまってはいたのですが、そういうつくり方では、本当は彼らのためにはならないのかもしれないと思い始めています。

とはいえ、入場料を払っていただくお客意識もあることだし、赤字公演に終わる恐怖もあるし、「チャレンジド・ミュージカルとは何か?」を問い直す大きな壁にぶち当たったのは事実です。

2009年10月25日

やはり、インフルエンザが・・・!

本番まで数週間という時期になって、やはりチャレンジド・ミュージカルにもインフルエンザが襲ってきました。新旧型入り混じっているようだけど、出演者の子どもたちにかなりの感染者が増加しました。

こうなったら少なくとも稽古を中止にして、せめて稽古場を通しての感染の広がりを防ぐしかない。土曜の稽古は中止にして、日曜日は感染していない、そして来れるだけの大人出演者と全スタッフが終結して、きっかけ確認を中心にしたテクニカルリハーサルに変更することにしました。本番もやれるかどうか不安は残りますが、ともかく、欠席者が出ても公演は維持できる体制だけは組んでおこうと思います。

考えてみれば、これは大変な事態ですね。社会生活の危機です。この冬ばかりでなく、この先ズウーッと次から次と新型が登場して、人間の社会活動ができなくなるわけですから。今年でさえ、冬の深まりに応じて人間が集まる機会は中止に追いやられていくでしょう。経済生活すら成り立たなくなるわけですものね。科学の力とかの言い方で次々と新薬を製造して、本来の命が次ぎ次とそれに対抗する抗体を作り出して、無限の競争を繰り返す果てに、一番生命力の弱い人間が消滅していく可能性だってあるわけです。

でも一方では、その危機と比べてあまりにも小さなことなので恐縮ですが、今回の事態への対処に当たっては、関係する人たちからの適切な情報提供と適時な提案が寄せられて、比較的早くに方針を決めることができました。いちぶんネットという市民活動に関わる人たちの成長を感じます。頼もしいものです。
まずは報告まで。

2009年10月20日

日々に学び、日々に模索

本番までわずかとなった「チャレンジド・ミュージカル」の稽古の追い込みに入っています。今月の毎週土曜日と日曜日は稽古三昧。いろんな行事が目白押しの季節なのに、みんな熱心に参加してきてくれます。

「これくらいならできるかな?」と書いた台詞の多い台本、実際に稽古してみれば、明らかに無理な注文だったと気づく毎日です。前回の「サファリ!」で台詞が言えたのは、周囲にいた大人たちがプロンプター役をやっていたせいだったのですね。そんなことも忘れて、無理な注文を投げかけて、返って子どもたちの意気を低めていたのかもしれません。

おとといと昨日の稽古で、そんな停滞するシーンを整理したことで、どうやらもう一歩という段階にきました。
カーテンコールのハクナマタタに行き着いて、どっと発散されたあのエネルギーの爆発といったら・・・ハクナマタタという曲にはまったく不思議な力がありますね。

あの爆発が僕らに公演を継続させる力となっていたのですが、途中でやはり欲が出て、そのもう少し先をと狙ってみると難しい壁に突き当たる。でもそれだって貴重なチャレンジであることは間違いない。爆発を面白がり一歩先のチャレンジを忘れず、そのちょうどいい状態を模索することがこれからも大事だとつくづく実感しています。

稽古後はどっと疲れが出てくるようになりました。一刻も早くタバコをすいたくて稽古場を逃げ出します。戻ってみれば、他のスタッフがこまごまとした打ち合わせを担ってくれています。本当にたくさんの人の協働でチャレンジド・ミュージカルは成り立っているのです。
さあ、来週は総仕上げだ!

2009年10月14日

緑の回廊

すっかり秋の気配。すがすがしいお天気が続いています。
3連休の二日はチャレンジド・ミュージカルの稽古。一緒に踊って歌って演技して、こちらはヘトヘトになっているのに、稽古が終わって子どものあの騒ぎぶりはどうでしょう。まったくエネルギーの固まりですね、ガキは!

最後の一日はじゅんさい池から国府台緑地を通って江戸川までの「緑の回廊」を散歩しました。愛犬がいなくなってからは仕方なく奥さんを連れて歩くしかありません。
じゅんさい池にはもうカモが来ています。国府台緑地のイヌクゲ?の林の中はさすがにオゾンに満ちています。里見公園を抜けて降り立った江戸川河川敷の広々とした空間は身も心もゆったりと解放してくれます。行き交う人もみな秋の一日をたっぷりと味わっているようです。

四季の巡りの楽しみは日本人への一番幸せな贈り物ですね。この喜びを後何度楽しめるのだろうかと、ふと頭をよぎりました。
友人が前立腺がんに苦しんでいます。検査技術が発達して、詳しく見れば誰にでもガンは見つかるものです。そして手術や抗がん剤は有害無益だというのがぼくの考えです。免疫力を高めてガンを丸め込むか、ガンとともに生きるかするかありません。ガンの主因はストレスだというのがぼくの考えでもあります。

明るく笑って、好きなことして、一日一日を大切に味わいながら、天命に従おうと、太陽の光に中でまるで白絹の布のようにキラキラと輝くすすきの穂の群れを見つめながら、僕は思いを固めたのでした。かっこいい!

2009年10月05日

こんなこともできない!

チャレンジド・ミュージカルで傷害のある子どもたちと付き合いだして5年目。
障がいのなんたるかも知らないで始めたミュージカルですが、未だに深く落ち込んだりしています。

「この程度ならついてこれるだろう」と軽く見積もった稽古課題でも、実際にやってみると混沌とした事態に陥っていきます。計算どおりに行かない(計算がただ甘かっただけのことですが)事態にいらだって、言葉もつい大声で荒げてしまいます。そして、結局強引に形をつけていこうとします。ふと気づくと、肝心の子どもたちは面白くなさそうに沈み込んでいます。ああ俺は何をやっているのだ!と落ち込みます。

「これくらいのことならできる」と人は思うでしょうが、それができない子もいるのです。その当たり前のことに今さらながら気づくのです。子どもたちの中にどんどん入り込んで、一緒になって面白がろう、楽しもうとしているはずなのに、できないという現実ばかりに目が行って、一緒に面白がっていない自分に気づくとき、やぱり僕も落ち込みます。相手にする資格はないとも思い込みます。

昔はこういう時、すぐ差別意識という概念を突きつけられて、関わろうとする人間の心をなえさせたものですが、子どもたちの現実をわかっていないということの重みはやはり強烈です。

もっともっと一人一人を大事に、一つ一つを大事に、ゆっくりと稽古という時間を楽しみながら創造していかなければチャレンジド・ミュージカルの意味はありません。そう反省しつつ、やっぱり同じ過ちを繰り返しています。でも後1月。がんばるぞ! 

2009年09月23日

ウモジャ!

21日夜、赤坂ACTシアターで、南アフリカミュージカルの「ウモジャ!」を見てきました。

ほとばしるエネルギー、疲れを知らぬ身体能力、緻密な表現力、五体がバラバラになるかと思える動き、膨大な練習量、アフリカの風を思わせるハーモニー、大地の鳴動を感じさせるリズム、セクシャルな歌声・・・何もかも圧倒的な迫力で迫ってきました。完全な脱帽です。

ウモジャとは「心を一つに」という意味。南アフリカの黒人たちの植民地以前の素朴な生活から1948年のアパルトヘイト政策と最近の撤廃までの民族の歴史を通して、音楽とダンスがどう変遷して行ったかをテーマにしているのですが、うらやましいのは、生活の中にしっかりと表現する喜びと悲しみが息づいていること。言わば、芸術世界が人生の中心にあるという生活。
どうしても私たち日本の生活・・・物資的に恵まれつつ人間としての喜びや悲しみや激情を失いかけている現実を比べてしまいます。もうまるで生命力が違っているのです。人間の幸せとは一体どういう状態を言うのでしょうか?
 
最後に客席に降りてきて観客とハイタッチしたのですが、2時間以上次々と激しく歌って踊って、顔にも手のひらにもうっすらと汗を浮かばせているというだけの彼らの体力には、本当にびっくりさせられました。

今やっているチャレンジド・ミュージカルでもアフリカのリズムと歌声に挑戦しています。障がいのある子どもたちにその生命力の豊かさを少しでも感じてもらいたいと欲張っていますが、そんなこと以上に、人間の毎日の暮らしの中に、躍動するエネルギーや生命力がみなぎる時間が満ち満ちているという、そんな喜びにあふれた生活を取り戻したいと、ほんとにうらやましげに思わざるを得ませんでした。

狩猟民族のあのような激情的なエネルギーの発散はなくても、農耕民族の日本人だって、昔はそれなりのエネルギーに満ちた世界があったはずなのにね。

2009年09月16日

手間のかかる手法

昨日のチャレンジド・ミュージカルの稽古。
ジャッカル組の台詞をつけていてのA子ちゃんの文句。「あたしの台詞はないの?」「あるじゃない」「もっと長いの。もっと長い台詞はないの?」。A子ちゃんの集中度をみている僕は内心ムッとしたけど、その意欲に応えて冒険してもらうことにする。一人ひとりの不満を押さえつけて形を急げば簡単なミュージカルだけど、やっぱり一人ひとりの意欲を引き出していこうとすると手間がかかる。それが何より大事だからそうする。

同じことが市民参加にも言える。
森田新知事に変わった千葉県行政は、今堂本前知事の業績をことごとく一掃しようとしている。知事が変わったのだから当たり前だけど、リーダーは新知事というより県庁幹部職員たち。扱いやすい新知事の下で、市民参加やNPOとの協働などというしち面倒臭い政策手法をやめて、10年前までの手法、即ち行政主導の政策に戻そうとしているわけです。

行政官にとって、市民の干渉ほどうるさいものはない。行政が議会与党と結託して仕事を進め、反対する野党がいても多数決論理で押さえ込めば乗り切れるわけです。そうしてこれまでの千葉県行政は役人のいいようにやってきた。権力に癒着する人たちの利益主導、その象徴が30億円の税金不正使用です。

市民やNPOがそれはならじと活動を生み出すことで、市民参加という新しい民主主義手法を強めることで、行政マンには情報公開を迫られた上に面倒な仕事が増えた。解決までにも時間がかかる。つまり市民参加という手法は時間がかかるのです。市民の能力も限られているからいろいろ話し合う必要があるし行きつ戻りつするものです。

でもそれが21世紀の政治手法でしょう。市民参加やNPOとの協働を抜きにして、これからの行政運営はありえません。
千葉県庁が新しい総合計画を打ち出そうとしている。10年前の手法に戻そうとしている。「ちょっと待ったあ!」と、NPOとしては文句言うしかない。県内のNPOが集まって、そう行動する必要がある。

「一人ひとりを大事にする活動と社会」・・・大変困難な道だけど、そうでなければ活動や社会のなりたつ価値がないのだから、そうしていこうと思う。

2009年08月11日

何という難しさよ!

チャレンジド・ミュージカル「サバンナ!」の稽古が4回目を終えて夏休み期間に入りました。

昨日9日は「台詞」に挑戦・・・」のつもりが、箸にも棒にもかからず、仕方なく中止にしてしまいました。悔しい思いでいっぱいです。お休みの子も多かったので、台詞の分担も決められず、まずどんな声やどんな明瞭さで言葉を語れるかを一人一人試してみたのですが、ぼくの気持ちばかりがアセって、はっきり敗北感を感じてしまいました。チャレンジド・ミュージカルの難しさを改めて思い知るばかりです。

当然のことですが、台本を読めない子もいます。すぐには台詞の意味も理解できない子もいます。だから稽古は「台本読み」をするよりも、口述で台詞を割り振っていきます。台詞とはコミュニケーションの具体化ですから、その台詞の意味は何か? なぜその台詞をいうのか? 誰に向かっていうのか? といった会話の動機や目的が理解できなければ、頭にも身体にも入っていきません。すべての演技はこのように繰り返し稽古を重ねていきます。

昨日は、そうした過程を省略して、「まず言ってご覧」とばかりに口述していくと、ぼく自身がまるで調教師のような、受験指導の先生のような、いやな気分になってしまいました。
やはり演技づくりの本道に立ちかえるべきですね。そして、そうした稽古には、実に普段の何倍もの時間をかけねば成立しません。理解というものに何倍もの時間を必要とするチャレンジド・ミュージカルの宿命です。

これまでは歌って踊って発散するエネルギーだけで成り立っていたチャレンジド・ミュージカルが、前回から表現することに重きを置きだしたわけなのですが、その割に稽古時間を十分に確保していない、その不十分さが稽古の難しさを増幅させています。

「この子たちのやれることはこの程度だ」と決め付けてしまう愚かさを克服するためにも、稽古のあり方を再考しなければなりません。それは公演経費にも関わってくる問題なのですが。

とはいえ、子どもたちの意欲の高さには驚くばかりです。ぼくの提起する課題に挑戦したいという意欲がありアリです。「できるかな?」と投げかけると、目をランランと輝かせて挑戦しようとします。でもできません。何回か繰り返させても出来ません。そこでぼくも諦めてしまうのですが、その時に強烈な後悔が生まれてしまいます。その子に、「ぼくはできない」という印象を残しただけではないのかと。

チャレンジド・ミュージカルの難しさがそこにあります。簡単にできるできないと判断してはならない。高望みせず、時間をかけて、少しずつ可能性を引き出していく、その原点を忘れてはならないと痛切に実感した稽古でした。
果たして本番までに間に合うかしら? 恐ろしくなってきます。

2009年07月22日

「サバンナ!」始動する

19日(日)13時、いよいよ第5回チャレンジド・ミュージカル「サバンナ!」の稽古が始まりました。

暑い市川駅南公民館のホールには100名以上の関係者が集合、みんなの意欲の高まりも加わって一層ムンムンとした熱気の中で稽古は順調に進行しました。

今回はボイストレーニングに力を入れていきます。歌や演技など声を出す力を強化したいのは当たり前ですが、それ以前に、子どもたちに生活の中でもっと大きい声が出るようにしたいのです。
身体に根強く巣食っているさまざまな緊張を取り払えば、人間はもっと大きな声が出せるものです。
特にハンディのある子どもたちが少しでも声を大きく出すことで、自分の存在を自信を持って押し出していけるようにと思います。

モフラン氏作曲・ジャクソン氏編曲の唄を歌いました。モフランの曲はアフリカの風土と香りガ一杯、広大なサバンナに吹き渡る風さえも感じさせる魅力があります。リズムの心地よさばかりでなく、ハーモニーの美しさがあります。その曲をどのように歌い表現するか、稽古の張り合いも増してきます。

前日の上野動物園で観察した動物の生態をみんなで遊びました。今回のようなテーマでは、どうしてもライオンキングの場面がちらついて、ぼくも振り付け指導者も大弱りなのですが、ライオンキングも元はといえば手塚治虫さんのマネ。恐れることなく我々のイメージを追及するしかありません。
形態模写に終わるのではなく、動物の個性や集団的習癖、行動形態などを探る中で、新しい動物表現を打ち出したいものです。

今回もたくさんの若者たちがサポーターとして参加してくれました。この子たちを見ていると心からうらやましくなります。新鮮な活気を発散しながら、興味を深めて前へ前へと進んでいくエネルギーを、ぼくもまた吸収したいと欲張らずにはおれません。

それにしてもどこもかしこも禁煙禁煙、ちょっとした喫煙コーナーすらも設置しない会館が増えてきました。いー加減にしろ!

2009年06月03日

参加費が増えた!

チャレンジド・ミュージカル第5回公演「サバンナ!」の出演者募集が開始されました。

今回は、BBモフランが全曲の作曲を担当した上に、出演もするという意欲作。アフリカの動物民話を元に、アフリカンリズム一杯の激しいエネルギッシュなダンスとゴスペル風の圧倒的な歌唱で盛り上げようという、わくわくするような舞台を創ろうとしています。
前回にも増して、参加者が急増して、また受け入れをお断りしなくてはならないかと案じていました、ガ・・・

参加費が一挙に一人1万円とこれも急増しました。四人家族で参加したら4万円です。高い! どうしよう? という声が聞こえてきそうです。理由は、今回助成金の一つが当てにできなくなったからで、いちぶんネットの維持経費も困難を予想できるからです。
不況で残業代がなくなって家計は火の車になっています。仕事すら奪われてしまった人もいるでしょう。その中から参加費を捻出する苦労は十分わかります。本当に悩ましい話です。

参加費は1回あたりに直せば500円です。今回は指導者やスタッフにもご無理をお願いせざるを得ない状況です。他の事に使うお金を1週間で500円節約していただくことで、何とか工夫していただけないものでしょうか?
どうしてもという方は、どうぞいちぶんネットの事務所にご相談ください。参加費が高いから出演をあきらめるなんて、私たちが一番悲しい気分になることです。市民の知恵で、克服していきましょう。

そして、日本ダービーで稼いだと喜んでいる方、何とか給付金の使い道に困っている方、ぜひ「サバンナ!」への協賛金をお願いします。助けてください。
いちぶんネットも、いつまでも助成金だよりの活動にとどまっていてはなりません。今年から堂々と収益事業にも乗り出して、基礎体力を身に付けていこうと考えています。

私たちもがんばりますから、皆さんもご協力くださいね。

2009年04月05日

SAVANNA〜むかし、ジャッカルは黄金の毛皮を誇っていた〜

チャレンジド・ミュージカル公演「SAFARI!」が終わったばかりというのに、もう次回公演の準備です。

第5回公演は今年11月。市川市民会館と幕張のOVTAホール。今回は、いつも参加してくれているBB・モフランとの本格的な共演になります。彼はチャレンジド・ミュージカルを非常に気に入ってくれていて、大いに出演したいという希望を持っていました。
そこで、前回チャレンジドたちは台詞に挑戦して、かなりのことができるとわかったこともあり、モフランとの本格的な絡みを演じてみようとなりました。

浮上した素材は、アフリカのホッテントット族に語り伝えられた楽しい動物民話。
むかし、サバンナに生息する動物の中で、ジャッカルは黄金の毛皮を誇っていました。長いヒデリに苦しんでいるある日、ライオンの王様(モフランが演じます)の命令でダムを作って水を蓄えようということになり、サバンナ中の動物たちは労働に励むのですが、ジャッカルだけは汚れ仕事を嫌います。やがて雨が降り、ダムはきれいな水で満たされます。大喜びの動物たちを尻目に、一番乗りしたジャッカルはシャンプーとリンスで身体を洗い、おまけにウンコまでしてみんなの飲み水を汚してしまいます。怒った王様はサルを使いにやってジャッカルを懲らしめようとするのですが・・・・と、いったお話。

先日、モフラン氏と振り付けの松木さんとの打ち合わせを終わり、アフリカン・リズムいっぱいの音楽とダンスで満たそうと確認しました。なにやらライオンキングめいてきますが(モフランは以前ライオンキングに出演していました)、面白い衣装も考えて、壮大なアフリカのサバンナの情景を再現したいと思います。加えて、チャレンジド・ミュージカルも5回目になるので、この辺りでイメージと構成を一新。新しい表現への挑戦になります。
モフランも松木さんもやる気満々、7月からの稽古の初日はみんなで上野動物園に行って動物の生態観測から始めます。ご期待ください。

ところで、昨日、大まかな予算をたててみたら、何とかなりの額の赤字予想。当てにしていた助成金が一つだめになり、その分が赤字になってしまいます。回を重ねていくうちにどうしても予算は膨らんでいきます。ほとんどは謝金費用ですが、いつも無理をしてもらっているスタッフや指導者にそれなりの保証をしていこうとすると、どうしても全体額は膨らんでいく。ぼくは助成金確保がうまい方で、それはやってる事業に価値があるからですが、競争率の激しい助成金を当てにしなければならない事業そのものがむしろ問題なのです。

これをどうしたらいいのか、本当に頭の痛い問題です。上演委員会の人たちの知恵も集めて、何とか解決策を図らなければなりません。まあ、何とかなるでしょうが。

ともかく6月から新規に参加者募集です。ご期待ください。